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【薬剤師監修】インフルエンザA型B型の違いとは?
2025.02.14 | 薬剤師・薬学博士 小林和正
<監修薬剤師:小林和正>

東京理科大学薬学部卒業後、修士課程に進学し、東京理科大学大学院薬学研究科修士課程を修了。その後、博士課程に進学し、東京大学大学院薬学研究科博士後期課程を修了。大学院在学時に、物件を探し薬局を創業し、2016年にケーファーマシー株式会社を設立後、代表取締役に就任。

     


    

インフルエンザには種類があるのを知っていますか?インフルエンザは毎年流行する、季節性ウイルスですが、A型、B型、C型、D型の4種類に分かれています。これらのウイルスは、いずれも「ヘマグルチニン(HA)」と「ノイラミニダーゼ(NA)」という二つの表面タンパク質を持っており、これらの組み合わせによって細かく分類されます。その中でも、A型とB型が人に感染するウイルスです。

実は、インフルエンザでもA型B型によって、症状や感染力が違うので、注意が必要です!

今回は、2つの違いを詳しく見ていきましょう。

     

      

①インフルエンザA型とは

          

インフルエンザA型は、数年単位でみられる世界的な大流行の時に影響するウイルスで、B型よりも感染力が強いと言われています。インフルエンザA型による過去に起こったパンデミックの例として、1918年の「スペイン風邪」や2009年のH1N1インフルエンザなどが挙げられます。

    

初期の症状は、38度~40度の高熱や全身倦怠、強い関節痛・筋肉の痛みです。一般的な風邪と同じような症状では?と思われるかもしれまんが、インフルエンザA型はこれらの症状が強くしかも急激に表れるのが特徴です。

その他には、食欲不振、頭痛、めまいが起こり、そしてやや遅れて、上気道炎の症状(咳、鼻水、喉の痛み)と消化器の症状(吐き気、嘔吐、下痢)が出てきます。

      

~インフルエンザA型の潜伏期間~

    

インフルエンザA型ウイルスは増殖するスピードが非常に速いため、潜伏期間も比較的短く1~3日と言われています。増力したウイルスが症状を引き起こすのが、だいたい感染してから3日目くらいからといわれています。そのため、インフルエンザが大流行した年はインフルエンザA型が影響している傾向が多いです。通常は約1週間ほどで症状は軽快します。

   

②インフルエンザB型とは

   

インフルエンザB型は症状の進行が緩やかで比較的軽いと言われています。インフルエンザA型と比較すると、世界的な流行を起こしにくいウイルスではありますが、だからといって油断は禁物です!B型はA型と比較して流行する頻度が少なく、流行が多く見られるのはA型の流行が一段落した後の時期です。しかし、B型ウイルスが流行すると、特に高齢者や小さな子どもなど、免疫力が低い人々に重症化のリスクが高いことがあります。  

     

初期症状は、37度以上の高熱、関節痛や頭痛、鼻炎です。少し遅れて、腹痛や下痢(げり)などの消化器系症状が多くみられます。インフルエンザA型に比べてそこまで熱が高くならないと言われています。中には熱は出なかったという方も見られます。

熱が出ない方もいるからこそ、一般的な風邪だと思ってしまい、インフルエンザウイルスに感染していることに遅れて発覚するケースが多いのが、インフルエンザウイルスB型の特徴でもあります。

インフルエンザB型は、流行の時期も遅いです。2月~3月の春先にかけて流行し、年によっては5月ごろまで感染してしまう恐れがあります。冬が終わってインフルエンザ感染の心配はないと思わず、春先にかけても、手洗い・うがいなどの一般的な感染対策は徹底していきましょう!

    

~インフルエンザB型の潜伏期間~

   

インフルエンザB型の潜伏期間はインフルエンザA型と同様、1~3日と言われています。約1週間ほどで症状は治まってきます。

   

~潜伏期間の対処方法~

   

まず、大切なのが、潜伏期間でも感染力はあるということです。つまり、インフルエンザに感染したと自覚していなくても、他者へインフルエンザウイルスをうつしてしまう可能性があります。

特に、インフルエンザB型は、熱が出なかったり、症状が軽いケースも多いため、インフルエンザ感染に自覚せずそのままになってしまう場合があります。潜伏期間の中でも発症前日が一番感染力が強いと言われています!

なので、症状が出たら、まずはお近くの医療機関に受診し相談しましょう。インフルエンザ検査を受けていたら安心材料にもなります、ただの風邪だから市販のお薬で何とかなる・・・と思わず、インフルエンザ流行時期は特に、少しでもいつもと違う症状を感じたら、医療機関を受診することが大切です!

    

~ワクチンと治療方法~

    

インフルエンザウイルスに対する予防接種は、A型とB型両方に対応するように作られています。インフルエンザワクチンは、毎年変異を繰り返すA型ウイルスの特定の亜型に対応したものが使用されますが、B型ウイルスにも対応しています。B型ウイルスの変異はA型に比べると少なく、ワクチンの効果はB型に対しても比較的安定しています。

治療においては、A型とB型のインフルエンザは共通の抗ウイルス薬(例えば、タミフルやザナミビルなど)で治療できます。これらの薬は、症状が出初めの早期に使用することで、症状を軽減し、治癒を速めてくれます。

      

~インフルエンザの治療薬~

     

    

   

タミフルは、発症後48時間以内に服用することで、症状の軽減や病気の期間を短縮することができます。一般的にはカプセルやシロップとして服用され、成人と小児両方に使用可能です。

※副作用:吐き気や頭痛などが報告されています。

         

イナビル

     

イナビルは、吸入薬として使用されています。吸入薬として使用することにより、薬が直接気道に届き、局所的に効果を発揮するため、他の治療法と比べて作用する時間が速いと言われています。

1回の吸入で終わるので、服用忘れ等心配することなく使用できます。

※副作用:喉の痛みや刺激感、頭痛や吐き気などが報告されています。

リレンザもイナビルと同様に、吸入薬として使用されます。

吸入薬であるため、口腔内や喉に刺激を与えることがあり、使用後にうがいや水を飲むことが推奨されます。イナビルとは違い、(成人および12歳以上の子供)リレンザは、通常、1日2回、計2日間使用します。

※副作用:喉の痛みや刺激感、頭痛や吐き気などが報告されています。

         

ゾフルーザはインフルエンザの治療薬として比較的新しい薬です。

1回のみ服用の飲み薬なので、患者にとって非常に便利な薬です。

※副作用としては、軽い下痢や吐き気が報告されていますが、一般的に安全性は高いとされています。

    

    

~インフルエンザの感染対策、学校や仕事はどのくらい休むのか?~

下記の記事で紹介していますので参考にしてみてください!!