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アトピーは春に悪化する?市販薬でも使える正しい選び方を紹介
2025.03.24 | 薬剤師・薬学博士 小林和正
<監修薬剤師:小林和正>

東京理科大学薬学部卒業後、修士課程に進学し、東京理科大学大学院薬学研究科修士課程を修了。その後、博士課程に進学し、東京大学大学院薬学研究科博士後期課程を修了。大学院在学時に、物件を探し薬局を創業し、2016年にケーファーマシー株式会社を設立後、代表取締役に就任。


アトピー性皮膚炎は夏や冬に悪化しやすいイメージですが、実は春も注意が必要です。

春は花粉や紫外線、乾燥などによって症状が悪化しやすくなります。 

今回はアトピー性皮膚炎に使える市販薬の選び方や対策などを紹介します。

いつも使っている薬が切れたときや緊急時などに参考にしてください。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、痒みや湿疹の症状が良くなったり悪くなったりする状態を繰り返す皮膚の病気です。アレルギーを起こしやすい体質の方が、食物やダニ、花粉などのアレルギーを引き起こす原因物質に触れることで、身体に備わっている免疫システムが過剰に反応して炎症が起こり発症します。

原因と対策

原因

・アトピー素因(家族歴、アレルギー性疾患、IgE抗体)

・皮膚のバリア機能が低下している

・皮膚が弱い

・寝不足、ストレス

特に皮膚のバリア機能の低下は、乾燥しやすい、汗をかきやすいなどの体質に加えて季節や気温、湿度など環境の変化により生じ、皮膚が刺激を受け炎症を起こしてしまいます。

対策

①生活環境を整える

②皮膚に刺激を与えない

③保湿

アトピー性皮膚炎の症状は体質だけでなく環境にも左右されます。

ここでは3つのポイントをおさえましょう!

①生活環境を整える 

→室内を清潔にして適度な温度と湿度を保つ、バランスのよい食生活を意識する、睡眠を十分にとりストレスをためない、花粉に触れないようにする 

②皮膚に刺激を与えない 

→顔や体を洗うときはゴシゴシ擦らない、熱いお湯につからない、コットン素材などの肌触りの良い衣服を身に着ける、日焼けを避ける、汗をかいたときに放置しない 

③保湿 

→保湿剤で皮膚の乾燥を防ぐ、加湿器を使用する 

症状に合わせた市販薬の紹介

湿疹の状態によって選ぶ市販薬が異なります。誤った薬を使用するとかえって症状が悪化する場合があるので、購入前によく確認してから選びましょう。 

分からない場合、不安な場合は薬剤師に相談することをおすすめします。 

《痒みが強いとき》ステロイドの塗り薬 

ステロイドには強さが5段階ありますが、市販薬は真ん中からした下の強さの薬しか販売されていません。(ステロイドの強さ:strongest<very strong<strong<medium<weak)

掻きすぎによるかさぶたやプツプツが少ない場合、皮膚が少しだけ赤くなっている状態や軽い乾燥であれば市販の塗り薬でも対応できます。

リンデロンVS軟膏

・抗炎症成分(ステロイド)、皮膚修復成分、殺菌成分配合

・強さ:strong

フルコートF軟膏

・抗炎症成分(ステロイド)、抗生物質配合

・強さ:strong

フルコートFMD軟膏

・2つの抗炎症成分配合(ステロイド、グリチルレチン酸)

・強さ:weak(最も弱い)

《じゅくじゅくしているとき》亜鉛華軟膏 

亜鉛華軟膏は患部である皮膚を保護して炎症を和らげ、症状を緩和させる効果があります。

また、患部から出る浸出液(傷口から出る透明または黄色っぽい液体)を吸収して適度に乾燥させるため、じゅくじゅくした皮膚の再生が促され改善しやすくなります。

亜鉛華軟膏

・患部を保護し、炎症を和らげる

・皮膚の再生を助け、傷の治りをよくする

《カサカサしているとき》プロペトなどの保湿剤

乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、外部からの刺激を受けやすくしてしまいます。 

肌が乾燥してカサカサしている場合は市販のプロペトや低刺激性の保湿剤を使用するとよいでしょう。

プロペト ピュアベールa

・長時間、肌を守る保護力

・敏感肌でも使用できる

・白色ワセリンの純度をさらに高めたプロペトがおすすめ

オリブ油

・オリーブの実からなる脂肪油

・皮膚保護作用、炎症防止作用、かぶれ防止作用

上記の薬以外も好評販売中!

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注意点

市販薬を使用しても症状が改善しない、または悪化した場合は薬の使用を中止してすぐに医療機関を受診しましょう。 

いつも使っている薬が切れてしまった場合や一時的な使用であれば問題はありませんが、初めから市販薬を使用することは避け、必ず皮膚科で診てもらってください。 

アトピー性皮膚炎は症状を緩和することのできる病気ですが、ひとりひとりに合った治療方法で根気強く地道に続けることが重要です。 

市販薬を使用してもよいか、受診した方がよいか判断しにくい場合は、お気軽にご相談ください。