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<<薬剤師監修>>ヒルドイドは市販で買える?|ヒルマイドはヒルドイドと違う?
2023.03.29 | 薬剤師 小林和正

アトピー性皮膚炎の方や子供に、主に保湿剤として使用されている医薬品のヒルドイド。一時期は美容界においても有名になったので、ヒルドイドと聞いてピンとくる方も多いのではないでしょうか。

花粉症の時期は肌も荒れやすいので保湿が重要になりますね!

だからと言って、ヒルドイドは保湿に優れているから使いたいと安易に考えてはいけません。
ヒルドイドはあくまでも、外用の医薬品です。

保湿に非常に優れているヒルドイド。医薬品なので正しい使用方法で使用することが重要です。どのような効果でどのように使用されるのか、市販でも買えるのか?詳しく解説していきます。



ヒルドイドの効果は?



ヒルドイドの有効成分は
「ヘパリン類似物質」です。

ヘパリン類似物質を主成分とする薬はヒルドイドのジェネリック医薬品を含めいくつかあります。後程ご紹介します!

さて、このヘパリン類似物質の効果は下記の3つ。


  • 保湿
  • 血行促進
  • 抗炎症作用


【保湿】

ヘパリン類似物質は、肌の角質層の水分保持機能を改善し、肌本来の保湿能力を取り戻す効果があります。表面的な水分蒸発を防いだり、水分を補給するのではなく内部構造に直接働きかけるため、高い保湿効果を示すと言われています。

肌の内部から水分保持をするため、アトピー性皮膚炎やひどい乾燥に悩んでいる方に最適です。

【血行促進】

血行の促進にも効果があります。しもやけなど血行障害を要因とする痛みを緩和したり、打撲、捻挫、筋肉痛、関節痛を和らげるのにも効果的なので、整形外科などでも使用されことが多いです。血液が固まるのを防ぐことができ、より早い傷の完治を目指すことができます。


【抗炎症作用】

血行やリンパの流れをよくすることで、穏やかな抗炎症作用や鎮痛作用もあります。そのため、外傷後のはれや腱鞘炎、筋肉痛、関節炎などにも使用されます。




ヒルドイドの種類


ヒルドイドの有効成分「ヘパリン類似物質」を含む医薬品は、先発医薬品・ジェネリック医薬品によって名前も使用感も変わってくる場合があります。

色々な剤型があるので下記にてみていきましょう。

【先発医薬品】※先に発売されたお薬。

①ヒルドイドソフト軟膏


ソフト軟膏という名前ですが、実際には軟膏ではなく、クリームです。

少し油っぽくて伸びにくいですが、一般的な軟膏よりはべたつきが少ないです。


②ヒルドイドクリーム

ヒルドイドソフト軟膏同様にクリームですが、ソフト軟膏よりも伸びが良く、べたつきが少ないです。



③ヒルドイドローション

乳液のような使い心地の製剤。

よく伸びるため広範囲にも塗りやすく、頭部など毛が生えている部位にも使用可能です。


④ヒルドイドフォーム

唯一缶に入っている製剤。

きめの細かい泡がでてきて、塗り伸ばすと泡が液状になってとてもよく伸びます。油分が入っていないので、さっぱりした塗り心地。



【ジェネリック医薬品】※先発のお薬と同じ有効成分で、別の会社が製造している安価なお薬。

    先発医薬品      ジェネリック医薬品
ヒルドイドソフト軟膏ヘパリン類似物質油性クリーム
ヒルドイドクリームヘパリン類似物質クリーム
ヒルドイドローションヘパリン類似物質ローション
ヒルドイドフォームヘパリン類似物質外用泡状スプレー


基本的にはそれぞれの剤型に一対一対応でジェネリックが作られています。使用感に関しても、ローション以外は大きな差はありません。

なおローションに関しては先発品とジェネリック医薬品で使用感が少し異なり、ヒルドイドが乳液状なのに対してヘパリン類似物質ローションは化粧水に近い使い心地です。



ヘパリン類似物質の副作用


ヒルドイドやヒルドイドのジェネリック医薬品を使用して大きな副作用が出たという報告はありません。

しかし、稀に下記のような副作用が出てしまう方もいらっしゃいます。ヒルドイドを開始した後にこれらの症状がみられた場合や、肌に合わないと感じた場合には、すぐに使用を中止しましょう。そして症状に応じて、医療機関を受診してください。

  • 皮膚刺激感(頻度不明)
  • 皮膚炎、 そう痒、発赤、発疹、潮紅(0.1〜5%未満)




ヒルドイドは市販で買える?


ヒルドイドは医薬品なので、医師の診察の元、必要とみなされた方にしか処方がされません。

しかし、ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質が含有されたものは、市販でも販売されているため、ドラックストアなどで購入することができます。


ヒルドイドと同成分のヘパリン類似物質が同量配合されている市販の医薬品で、代表的なものはこちらの

「ヒルマイルド」


ヒルドイドと非常に似ている名前ですが、こちらはドラックストアで購入が可能です。

有効成分は同じ、効果もヒルドイドと同様ですが、使用している添加物は異なります。


他には、ローションやスプレーなどの剤型も販売されています!


ヒルマイルド以外にも、成分濃度がヒルドイドと同じものも多数販売されています。剤型も、クリーム・ローション・スプレーなど、豊富にそろっています。
ただし、添加物などはヒルドイドと異なる場合があります。また、ヘパリン類似物質だけではなく、かゆみをおさえる成分や抗炎症成分、ワセリンなどが配合されているものも少なくありません。




ヒルドイドを使用できない方


【ヒルドイドとヘパリン類似物質の禁忌】

(1)血友病、血小板減少症、紫斑病等をお持ちの患者さま
(2)わずかな出血でも重大な結果を来すことが予想される患者さま



ヘパリンには血液が固まりにくくする作用があります。ヘパリン類似物質にも同様な作用があるので、上記に該当される方は、使用ができません。




保湿に非常に優れているヒルドイド。一時期、美容に関心の高い人の間で、「ヒルドイドを使うと肌荒れが治る!」という噂が出回り、美容目的でヒルドイドを手に入れようとする人が増えてしまいました。


ヒルドイドはあくまで外用医薬品、アトピー性皮膚炎など強い乾燥に悩む方、打撲やあざの治療をされている方、怪我し傷あとが残る方に向けたケロイドの予防に必要とされているお薬です。


また使用できない方もいたり、頻度は高くないにしても副作用もあるお薬となりますので、ヒルドイドの使用には医師の診断が必要です。

肌荒れ、乾燥に悩まれている方は、まずは薬剤師、またはお近くの医療機関にご相談ください。