新型コロナウイルスの治療薬には何がある?|効果や副作用、服用方法について紹介
2019年12月に中国からコロナウイルスが蔓延し始め、一気にパンデミックとなりました。世界各国でコロナの治療薬の開発が急がれ、2023年2月現在、日本でも特例承認/緊急承認としていくつかの薬が治療薬として使用可能になっています。
今回は新型コロナウイルスの経口から服用する治療薬についてご紹介いたします。
※妊娠中の方や妊娠の可能性がある方、授乳中の方のほか、他の薬を服用されている場合、飲み合わせに注意が必要な場合がありますので必ず医師または薬剤師にご相談ください。
そもそも、特例承認/緊急承認とは?
特例承認とは、健康被害の拡大を防ぐために、他国で販売されている日本国内未承認の新薬を、通常よりも簡略化された手続きで承認し、使用を認めることです。海外での有効性や安全性の実績をもとに、本来の手続きを短縮・省略して販売などが出来るようになります。
緊急承認とは、重大な健康被害の拡大を防ぐために緊急に使用されることが必要な新薬を、通常よりもかなり簡略化された手続きで国内承認することです。
「緊急承認」は「特例承認」よりもさらに重大なときや緊急性が高いときに選択されます。
通常承認 | 特例承認 | 緊急承認 | |
対象 | 全ての医薬品 | 海外で流通している医薬品 | 全ての医薬品 |
概要 | 承認審査で品質・有効性・安全性等の評価を行い、その結果に基づいて承認を与える。 | 緊急時に健康被害の拡大を防止するため、外国において販売等が認められている医薬品に承認を与える。 | 緊急時に健康被害の拡大を防止するため、安全性が確認された上で有効性が推定される医薬品に承認を与える。 |
特徴 | 海外での実績をもとに有効性と安全性を確認。 | 有効性は推定。 承認期間内に有効性のデータを採取し、再度通常承認が必要。 |
新型コロナウイルスの治療薬
①ラゲブリオ(特例承認)
新型コロナウイルスは感染すると細胞内に侵入し、ウイルスそのもののRNAをコピーして増えていきますが、ラゲブリオは、コロナウイルスのゲノムの複製をストップすることでヒト細胞内での増殖を止め、結果としてウイルスの増殖抑制効果を発揮します。
<<飲み方>>
朝夕食後に1回4カプセルずつ。5日間連続服用。
<<対象>>
軽症から中等症の方のうち重篤な心疾患や慢性呼吸器疾患、肥満等の新型コロナ感染症の重症化リスク因子がある等、医師が必要と判断した方。
<<特徴>>
軽症でも重症化リスク因子(高齢・糖尿病など)がある場合は服用可能。
18歳以上に限る。
発症から5日間以内に服用推奨。
<<副作用>>※現時点で報告されている主なもの。
下痢、悪心、めまい
②パキロビッドパック(特例承認)
パキロビッドパックは細胞内に侵入したコロナウイルスのRNA複製過程を阻害し、コロナウイルスの増殖を止めます。
<<飲み方>>
1日2回5日間連続服用。
<<対象>>
重症化リスク因子を有する軽症から中等症の新型コロナ感染症患者のうち、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児。
<<特徴>>
軽症でも重症化リスク因子(高齢・糖尿病など)がある場合は服用可能。
発症後3日以内の服用で、重症化リスク89%減と、有効性はラゲブリオより高い。
併用してはいけない薬が多いため患者さんによっては使いにくい。
<<副作用>>※現時点で報告されている主なもの。
味覚障害、下痢、めまい
③ゾコーバ(緊急承認)
ゾコーバはコロナウイルスRNAの複製の準備段階で働く酵素を機能しなくすることでウイルスの増殖を抑える。
<<飲み方>>
1日目は1回3錠を、2日目から5日目は1回1錠を1日1回服用。
<<対象>>
重症化リスク因子のない軽症から中等症の方のうち高熱・強い咳症状や強い喉の痛みなどの症状があり、医師が必要と判断した方。
<<特徴>>
国内製薬会社開発初の飲み薬!!
症状が現れてから3日目までに投与を開始された方に有効性が推定されている。
重症化リスクの低い患者でも服用できる。
発症から3日以内に服用を開始すると、せきや喉の痛み、鼻水・鼻づまり、けん怠感、発熱・熱っぽさの5つの症状すべてが7日前後でなくなり、症状が出ていた期間がおよそ24時間短縮されたというデータがある。
ただし、重症度の高い方への有効性は確立していないほか、重症化リスク因子のある軽症の方に対する重症化抑制効果は裏付けられていません。
<<副作用>>※現時点で報告されている主なもの。
HDLコレステロール低下、発疹等
3つの飲み薬を紹介しましたが、そのほかに点滴のお薬もあります。
ただし、取り扱える病院や薬局が限られています。
コロナ症状がある場合はまずはかかりつけ病院または薬局にご相談ください。